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札幌市内福祉施設職員国内派遣研修報告(平成27年度)

先駆的な活動を学ぶ

 本会では、札幌市内の民間社会福祉施設に勤務する中堅職員の資質向上を目的とした国内での研修について、共同募金会配分金等を活用し、費用の一部を助成しています。
 平成27年度は、2名の社会福祉施設職員が、先進的活動の視察・見学に参加しました。その研修報告をご紹介します。

法人の社会貢献=地域展開のビジョンを学ぶ

社会福祉法人 札幌慈啓会 慈啓会特別養護老人ホーム
副施設長 蝦名 真

 このたび、平成27年8月27日~29日の日程で、福岡県糸島市にある社会福祉法人志摩会の見学および研修をさせていただきました。
 志摩会では、法人の社会貢献=地域展開のビジョンをしっかりと策定しており、「法人の持っているノウハウや強みを地域で発揮し、住民に対する地域支援をおこなう」という理念を職員全体に浸透させています。
 また、法人内に社会貢献活動や地域包括ケアへの関わり、認知症カフェの開設、他法人や行政、ボランティアとの連携、情報収集を行うために専門の部署「地域包括ケア開発室」を設置するなど、法人としてさらに明確に取り組む体制を整え、地域との連携を図っています。
 糸島市には渡船で15分程度の距離に「姫島」があり、人口186名中高齢者も54名居住しています。この島には元々高齢者サービスのインフラがなく、介護保険制度下におけるサービス空白地帯になってしまう懸念があったが、社協が独自にヘルパーを養成し、サービスの提供を行ったとの事。また、社協の活動を支援するべく、志摩会においてもデイサービスを提供するなど強固な協力関係が築かれています。社協が古くから地域のまとめ役として力を発揮していたことがよく分かります。
 志摩会が行っている貢献事業で特筆すべきは、「志縁隊(しえんたい)」活動です。志縁とは、「志」を持って地域と良い「縁」を結ぶ意味であり、職員の発案で作られたスローガンです。志縁隊には3つのチームがあり、地域住民、企業、学校等において講座を行い、認知症サポーターを養成する「オレンジ志縁隊」。健康チェックや介護予防体操、レクリエーション、栄養指導、福祉相談を実施する事業である「ふれあいいきいきサロン」の開催をバックアップする「げんき志縁隊」。単身、夫婦高齢者世帯へ施設で作った食事を届けるとともに、緊急時の家族への連絡や受診対応、安否確認や日常生活の困り事やニーズを調査する「せいかつ志縁隊」がそれぞれに活動を行っており、地域包括ケア体制の構築には欠かせない戦力として地域に根ざしています。
 そしてもう一つの活動が「居場所づくり」です。「地域で開催されている高齢者サロンなどは月に1回程度だし、公民館などでの活動は高齢者には難しい。」という声を受けて「歩いていける場所に、お話しできたり集ったりできる場所」として、「たまり場」をオープン。これは、地域の高齢者が気軽に集まり、楽しむことができる場所。お寺からの会場提供や、集会所などを活用しての活動です。実際にお寺での会場を見学させていただきましたが、ご参加の皆さんとスタッフの方々の笑顔。そして、ゆったりと流れる時間がとても印象的で、居心地の良い場所だと感じました。
 これらのように地域に溶け込み、一体化して行う活動こそ、真の「地域貢献」なのだと認識を新たにすることが出来ました。
 今回は、このような研修に参加する機会を頂戴し、まことにありがとうございました。

ファミリーソーシャルワーク研修会に学ぶ

社会福祉法人扶桑苑 児童養護施設「柏葉荘」
家庭支援専門相談員・児童指導員 平 留美

 私はこの度、2月8日~9日に行われた「ファミリーソーシャルワーク研修会」に参加させて頂きました。児童養護施設においてファミリーソーシャルワーカーは、入所児童の保護者に対して電話や面接等を行い、児童の早期家庭復帰、里親委託等を可能するための相談、指導等を行う役割を担います。私自身、現在の職場・立場でどのような事ができるのか考えたいと思い、今回の研修に参加しました。
1日目は、子どもの貧困問題への対応に関する講義を受けました。そこでは、親が貧困状態から脱する為の支援はもちろん、子どもに対しても貧困や不利・困難に負けない力(=レジリエンス)を高めてあげる事が必要であると話されていました。しかし、レジリエンスは子どもが自己肯定感を持っていなければ積み上がらない為、まずは「守られる・認められる・愛される」経験を与える必要があるとの事でした。また、親が抱える課題や生育歴を子どもにきちんと伝え、生い立ちを整理してあげる事は、子どもが親との関係性を構築する為に重要であるとの事でした。
2日目は、愛着上の課題をもつ子どもと家庭への支援という講義を受けました。まず理解しなければいけない事は愛着上の課題をもつ子どもは、「自分を見て欲しい」「甘えたい」と思っていても反発や我慢でしか表出できない子どもが多いという事、それに対して養育者(親や職員、里親)は5つの養育の要点(予測性・感受性・有用性・志向性・存在性)を持ち、子どもを受け止める事が必要であるとの事でした。その中でも、子どもにとって養育者が役立つ(=有用性のある)存在である事を伝えていく事は最も重要であり、子どもがそれを感じられる事で、満足や信頼に繋がっていきます。また、子どもが自分自身の愛着形成を振り返る為に人生脚本というワークに取り組んだり、養育者によるライフストーリーワークを受けたりという事も子どもへの支援の1つであり、自分自身も今後視野に入れていきたいと感じました。
今回この研修に参加し、参加者の皆さんがそれぞれの立場で子どもや親と向き合い、家庭支援というものを行っている事を感じました。今後、この研修で得た刺激や知識を実践に活かしていきたいと思います。

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